
セミドライイーストの罠①
2026年07月18日 11:50
私は専門学校で製パン理論を教えています。
授業では、教科書の内容をただ覚えるだけではなく、
「本当にそうなのか?」を実際に実験して確かめる
ことを大切にしています。
実際に見て、触れて、食べて比較することで、
レシピ通りではなくても、生地の状態を肌感覚で判断できる
力を身につけてほしいからです。
100分の授業では時間が限られているため、事前に私が生地
を仕込み、発酵まで済ませたものを準備しています。
ところが先日、授業用の生地を仕込んだところ…。
まったく膨らまない。
「あれ?何か計量を間違えたかな?」
そう思い、もう一度同じ配合で作り直しました。
しかし結果は同じ。
まったく発酵せず、そのまま焼いてみると…
出来上がったのは、まるで野球ボールのようなパンでした。
小さくて、硬くて、ずっしり重い。(画像参照)
「これでは授業にならない…」
原因が分からなかったので、材料をすべて新しくして、
もう一度最初から仕込み直しました。
今度は無事に発酵し、授業にも間に合って一安心。
でも、どうして最初の生地だけ膨らまなかったのか…。
気になって学校の先生に確認してみると、原因はイーストでした。
学校で使っているのは、市販でよく見かける
インスタントドライイーストではなく、セミドライイースト。
実はこのセミドライイーストは水分を多く含んでいるため、
冷凍保存が基本なのだそうです。
私はそのことを知らず、これまで常温で保管していました。
今までは学校から受け取ってすぐ使うことが多かったので
問題が出なかったのでしょう。
ところが今回は、しばらく前にもらっていたものを
「まだ使えるかな」
と思って使ってしまいました。
どうやら、その時点でイーストはほとんど働かない状態に
なっていたようです。
私は普段、白神こだま酵母やサフのインスタントドライイースト
を使っています。
これらはうっかり常温にに保管していても今まで問題なく、
「イーストが原因でまったく膨らまない」という
経験はほとんどありませんでした。
だからこそ今回の失敗は、とても勉強になりました。
もちろん授業前は焦りましたが、学生たちには
「酵母が働かないと、パンはここまで変わる」
という実物を見せることができました。
みんな
「カッチカチ~!」とか
「重い!」
と驚いていました。
食べてみると・・
「意外と美味しいw
」
失敗もまた、教材ですね!
そして今回学んだことはもう一つ。
「イースト」と一言で言っても、実は種類によって
性質も保存方法もまったく違うということです。
次回は、生イースト・セミドライイースト・
ドライイースト・インスタントドライイーストの違いや、
それぞれの特徴について分かりやすくまとめて
みたいと思います。
②へつづく